現在、世界的なコロナ禍のただ中において、芸術家の苦境も例外ではありません。ニューノーマルへの対応として、公演のバーチャル化を試みていますが、それは芸術の観点から言えば恒久的で唯一のものではあり得ないことを我々芸術家は知っています。
九州作曲家協会は、これからの演奏会のあり方について、ここにひとつの指針を提示します。
この指針が、我々と志を同じくする音楽関係諸団体のみなさまとともに、新しい演奏会開催を模索する機運を高め、音楽家やその他公演を必要とする芸術家たちの一助となることを願います。
またそれが、人々の「どこかに出かけたい」という気持ちや、コミュニティとのつながりを求める心に寄り添うものとなるよう研究を続けることが、我々芸術家団体の責務と考えています。

(付則)
演奏会主催者のためのチェックリストを公開しました。自由に書き換えてご利用いただけますよう、エクセル形式となっています。ご活用ください。
https://kcaj.net/?p=1119
1. 演奏活動における全体的対策
演奏活動における全体的対策
東京都交響楽団、バイエルン放送管弦楽団、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院等の管楽器の飛沫計測の結果、プロの奏者が正しい奏法で演奏する限りにおいては、楽器そのものからの飛沫はほとんど確認されていないことから、通常の奏者間隔に近いセッティングが可能と考える。
- ただし、当面は、舞台上の通気性を十分に考慮したセッティングで始める。
- 当面は休憩なし1時間程度のプログラムを選定し、客席への入場者数も制限する。
- 演奏者のマスクは、周囲の人を感染のリスクにさらさない配慮からは装着した方が良いが、演奏に支障がある場合には、周囲への配慮を守ればマスク装着は行わなくても良いこととする。
- 楽器、楽譜、譜面台、各種機材、用具等を不特定多数が共用しないよう注意する。
- 合唱を含む公演については、当面実施しない。
- 声楽作品(独唱・独唱と独奏楽器・歌曲アンサンブル等)は演奏可能とし、舞台上ならびに楽屋での発声練習・音出しについては楽器演奏者と同じ扱いとする。
- 演奏者(スタッフ)に感染者が出た場合には、保健所及び外部専門家に相談し対応を行った上で、濃厚接触者を自宅待機とし、次の演奏会は感染者・濃厚接触者以外のメンバーで臨む。
リハーサル、楽屋等での対策
- 舞台と同様、密にならない配慮は必要で、容積の大きさと換気を考慮した上で、主催者が判断する。基本的に、換気が少ない場所での演奏は避ける。
- 入室時の検温、手洗い、手指消毒、マスク装着、管楽器の結露水対策など、日常の感染防止習慣を徹底する。
- 楽器、楽譜、譜面台、用具等を不特定多数が共用しないよう注意する。
- 演奏者が集まるロビーや楽屋、休憩室等の狭い空間では、使用人数の制限、使用時間の制限等、密な状態が生じないよう配慮し、使用者はマスク着用の上、お互いに距離を保ち、特に飲食の際には感染のリスクを生じないよう十分注意を払う。
2. 演奏者・スタッフの対策
演奏者の感染予防対策
(1) 会場入りの際の対策
- 検温、記録をする。
- マスクを着用し、咳エチケットも実践する。
- 楽屋口にて、非接触体温計による検温、アルコール消毒液による手指消毒を行う。
- 控室・楽屋では、できるだけお互いの距離を保つ。
- 会話はできるだけ控える。
(2) 舞台上での対策
- 演奏者は可能な範囲でマスクを着用し、咳エチケットも実践する。
- 管楽器の奏者は、演奏時に生じる結露水の処理を所定の吸水シートで行い、演奏終了後、自身の手で所定のゴミ袋に廃棄する。
- 体調に異変を感じた場合は、ただちにスタッフへ申告する。
(3) 休憩時、控室・舞台裏での対策
- 控室・楽屋では、マスクを着用する。
- 控室や楽屋では、できるだけお互いの距離を保つ。
- 演奏者同士で飲食を共有しない。
- 水分補給のための飲料水は持参する。
- 体調に異変を感じた場合は、ただちにスタッフへ申告する。
- 会話はできるだけ控える。
スタッフの感染予防対策
(1) 会場入りの際の対策
- 当日も検温、記録をする。
- マスクを着用し、咳エチケットも実践する。
- 会場入りしたらまず手洗い、手指の消毒をする。
- 控室、楽屋では、できるだけお互いに距離を保つ。
(2) 舞台上のセッティング
- 舞台上の椅子や譜面台のセッティング、片付けの際は、できるだけ特定の人が担当し不特定多数が触れないようにする。
- 舞台上の椅子や譜面台、控室や楽屋の椅子や机は、小まめに消毒する。
- セッティング中のスタッフは、マスク、手袋を着用し、こまめにアルコール消毒等を実施する。
- 楽譜の取扱いは、ライブラリアンが手袋着用の上、行う。
(3) 来場者の対応
- 来場者対応を行うスタッフは、マスクを着用し、必要に応じて手袋、フェイスシールド等も用いる。
- 来場者との社会的距離に注意し、正面に向かい合っての会話は出来る限り避ける。
- マスク、手袋、フェイスシールドの着脱時は、顔の周辺に直接触れることの無いよう、注意する。
(4) 公演終了後の対応
- 撤収作業は速やかに行う。
- 控室や楽屋等において使用した机や椅子などはアルコール消毒を行う。
3. 来場者の対策
来場者への要請事項
(1) チケット購入者の連絡先は販売時に把握する。
(2) 事前に以下の事項を要請する。
- マスク着用をお願いします(室温が28度以下の場合)。
- サーモグラフィー等による来場者の検温を実施します。
- こまめな手洗い、手指の消毒をお願いします。
- 来場者同士の間隔確保をお願いします。
- 大きな声での会話、館内での飲食はお控えください。(体調維持等のための水分補給を除く)
- 次に該当する場合は、来館・入場を控えていただきますようお願いします。
・37.5℃以上の発熱がある場合。
・咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、味覚・臭覚障害、眼の痛みや結膜の充血、頭痛、関節・筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐の症状がある場合。
・新型コロナウイルス感染症陽性とされた方との濃厚接触がある。
・過去2週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国・地域への訪問歴及び当該在住者との濃厚接触がある。 - 来場者から感染者が発生した場合、来場者の氏名・連絡先情報を保健所等の公的機関へ提供する場合があります。
- 各公演の内容や、公演会場のガイドライン等によって、内容を追加、変更させていただく場合があります。
会場での対策
- アルコール消毒液による、手指消毒を実施する。
- 入場時のチケット半券のもぎりは、来場者自身で行っていただくよう依頼する。
- 会場における密を避けるよう誘導する。
- 原則としてプログラム等配布物の手渡しは行わず、来場者ご自身の手で取っていただくようにする。
会場施設使用に関する対策
- 舞台上の演奏者から客席最前列までは、感染予防に対応した適切な距離を設ける。
- 受付デスクには飛沫防止板設置等必要な感染予防対策を施す。
- 観客への飲食提供、物販を行う場合は、施設と協議の上、十分な感染予防対策を実施。
本指針は、今後の流行状況及び最新の科学的根拠により、適宜改訂されるものとする。
(2020年7月20日 策定)
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